減税より環境増税のほうが効果的な景気対策
この10年間反ケインズ経済政策の新自由主義系のエコノミストの影響力が強まったおかげで、超低金利など金融政策偏重の経済政策がとられてきました。
それが、結果的に円キャリートレードといわれる国富の流出=輸入コストの増大=エネルギー、食料コストの高止まり=国民生活の窮乏=内需縮小という悪循環を生んだことが明白になってきています。
その流出した国富も、昨年来の金融危機で、資産価値が激減しているのは容易に想像できます。
政府は、高齢者の巨額のタンス預金があるに違いないと思いこんでるようですが、どうも 現実は違うのじゃないかと思います。
周囲の一般的なお年よりの話を聞きますと、金融機関のセールスに攻められて投資信託に預けている人が結構多く、タンス預金と思い込んでいる金額が、実はそっjくり金融危機の海外市場での損失で、消滅しちゃっているのではないかと暗然たる気持ちになったりしています。
実際1500万円預けたけど、今やめたら800万円になるから、そのまま預けて塩漬けにするしかないから、お金があっても使えるお金がないという話多いんですよ。
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そんな中、政府は、巨額の財政出動でケインズ政策を復活させ、景気の下支え=内需拡大を狙っていますが、日本経済成長期のような投資循環につながらない、単発消費のばら撒きに終わってしまうのではないかと大いに危惧を感じています。
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日本の高度経済成長は、政府の”財政投融資”という財政政策がひっぱった側面もありますが、もうひとつ忘れてならないのは、資金が内需に向かう循環構造を税制が作っていたということです。
高い法人税が、節税行動と裏表で、次の経済成長のエンジンとなる設備投資、研究開発投資にむかわたのは事実ですし、従業員の福利厚生の充実=個人消費市場の拡大につながっていたのも事実です。
個人の面でも、累進性の高い所得税が圧力となり、節税行動として、高額所得者の起業を後押し、内需拡大要因になっていました。現在のように余剰資金が直接マネーゲームに投入され、浪費されるということも抑制されていたと思います。
くしくも先日当選した河村たかし名古屋市長は10%減税をいっていますが、減税は中間層以下だけにして内需につなげ、逆に富裕層に対しては、累進性の強化で増税を行い、所得の再配分機能を高めたほうが将来性があるのではないかと思います。その意味で河村さんは民間の金持ちを過信しすぎじゃないかと思います。
この10年で得た教訓は、”現代の金持ちに金を持たせても、マネーゲームで海外市場でかもにされ、国富を消滅させるだけだからもったいない”ということです。
”能無しのくせに欲深い”金持ち”に金をまかせるのは、豚に真珠である。””豚に真珠を与えるくらいなら、税金でまきあげ、未来への研究開発投資にまわしたほうが持続的な経済成長を確保できる”
これが、この10年で世界が学んだことではないでしょうか。
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政府の経済対策の柱として、多額の予算を投入して、太陽光発電設備の補助を行うとかありますが、発想を転換すれば、より効果的な産業投資を誘導できます。
直接的に補助をして導入する方法より、太陽光発電の環境価値を高めて、経済価値を高め、市場での実需を喚起する方法がすぐれているという事実は、15年間の日本の蓄積をわずか数年で抜き去ったドイツ、スペインにおける爆発的な普及で実証されました。
たとえば、現在の法人税は、利益にかかりますが、そうした法人税とはちがい、企業活動の規模にかける環境増税を導入したらどうでしょうか。
電力消費、燃料消費に対してかけるものですが、グリーン電力証書の購入電力量についてはその購入量の10倍で評価するとかして、企業の節税行動を太陽光発電などグリーン電力の市場価値と結びつければ、固定価格買取のコストも容易に捻出することが出来ます。
簡略なモデル
通常10,000kwhの電力消費に30,000円の環境税を導入する
1,000kwhのグリーン電力を購入すれば10,000kwh分の環境税が減免される制度を同時に導入。
その場合グリーン電力の市場経済価値は1,000kwh=30,000円、1kwh=30円となる。
少しでもコストダウンを考える市場参加者であれば、グリーン電力が1kwh=10円であれば即買いにはいるわけで、その原資を電力会社の固定価格買取に充当すれば、財政負担なく、未来にむけた産業インフラ整備が遂行できる。
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世界が大きく変わろうとしている時代です。産業エネルギー構造の転換と景気対策の相乗効果をあげることは必須条件ですが、市場経済のイロハのわからない環境族が、市場と切り離されたハコモノ行政的な環境政策を計画していそうでおおいに不安です。
ここは経済産業省・財務省に踏ん張ってもらって、環境価値の市場化、貨幣価値化というキーワードで、奇跡の戦後復興のエンジンとなった”財政投融資””累進課税”のようなヒット政策を”環境増税”にからめて打ち出してもらいたいものです。
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