太陽光発電新規参入施工業者に起こる悲劇
昨年からの建設工事不況の中、新たな分野の仕事を求めて、太陽光発電の施工IDの取得を希望する事業者が爆発的に増えています。
三菱電機さんで予約してから9ヶ月後ですし、シャープさんの場合は、予約も受けてもらえない状況です。保証金1、000万円を入れて新規に特約店になった事業者の施工研修の予約も年内はいっぱいで、さばききれないとのことです。
もっとも、今みたいに需要が倍程度に収まっている段階ですと、既存の施工店でやりくりできる状況なので、そうして苦労して取得した新規参入店の施工IDも宝の持ち腐れのようですが、今後普及が爆発的に増えることは予想できますので心配はないでしょう。
ただし、別の意味での不幸が待ち受けてますので、安易な参入が招くリスクをお伝えしておきたいと思います。
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先月、隣の岐阜県で太陽光発電工事で転落死亡事故が発生しました。
太陽光発電システム設置の施工分担は、屋根の上のモジュールの取り付けと配線を設置施工要員が行い、軒から下を電気工事要員が行うケースが多いのですが、今回亡くなられたのは電気工事の方でした。
最近ほかの現場の仕事が減っていることもあって、スポットで電気工事を請け負われる個人事業者の方が多いのですが、高齢者の就職難のなか、高所作業に不慣れな高齢者の方がほかの現場から参入されるケースも多いようです。
そうゆう人の場合、仕事をとるために安く請け負って、少しでも利益を浮かそうとスケジュール的にも人員的にも無理をしますので、無理な体勢での高所作業をついつい一人で行うことが多いですが、はしごが倒れたり、はしごから身を乗り出してバランスを崩して転落したりして、誰も気づかないところで亡くなられているケースも多いようです。
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年間200名くらいが建築現場で転落事故でなくなられているんですが、ビル工事現場とおなじくらいの人数が一般住宅の建築現場で転落事故で亡くなられています。
危険な時間が多い屋根作業員が屋根から落ちて亡くなるケースよりも、より低いところで電気工事の人とか大工さんがはしごや脚立から落ちて亡くなるケースが多いようなので、施工スタッフに不思議に思って聞いたことがあるんですが、”常に落ちることを意識しているか、していないかの違いじゃないか”という答えが返ってきました。
落ちた場合はどうゆう体勢をとるとか想定しながら作業をするらしいですし、もし落ちても落ちながら体をひねってできるだけ安全な場所をキープするらしいですから、”やっぱり高所作業のプロのとび職はちがう”と感心したしだいです。
今回なくなられた方が高齢かどうかわかりませんが、とび職の人の話だと、昔やっていたということで戻られる高齢者が最近多いようですが、落ちて死ぬのは”出もどり””昔取った杵柄”の高齢者ばかり、若い人間は多少の高さから落ちても死なないといってましたので、”本当かよ”と思いましたが、あの窪塚洋介さんもマンションの上から飛び降りて死ななかったわけですから、危険な高所作業というのは、落ち方を制御できる筋力とバランス感覚がある若いうちにする仕事かもしれないですね。
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実際に新規参入される施工店の施工ID研修参加者を見ますと、運動神経が鈍りきったような年齢の方が多いです。
起死回生で”未来のエネルギーである太陽光発電”に残りの人生をかけようという意欲にあふれられているんですが、”40過ぎてモーグルをはじめてエアーができるようになるか”という話ですから、屋根から転落されたら即死亡という肉体レベルのまま、近い将来太陽光発電設置の犠牲者になるんだろうなと変な気持ちになったりします。
今は受注そのものがないので危険もないでしょうが、近い将来、激しい競争状態に巻き込まれるのは見えてますから、家電販売店のエアコン工事みたいに無理なスケジュールで無理な単価で請け負う羽目になることは目に見えてます。
他人事ながら、地上の模擬屋根で研修しただけであんまり甘く見ないほうがいいですよと思う今日この頃です。
施工に無理をさせないためにも、営業コストなど間接部門でもっと努力しないといけないと思います。
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コメント
雪下ろしや太陽光パネルの設置がど屋根上での作業に適した安全帯を考案しました。
ビレイループ式胴ベルト型安全帯のHP
http://www.link-21.com/safety/
投稿: 橋本 昌雅 | 2011年12月12日 (月) 10時52分
昨日(3/2)、岐阜県で太陽光パネルの取り付け作業中に屋根から6m下に墜落し死亡する事故がありました。ニュースで知りましたが、
25歳だったそうです。ヘルメットも安全帯もつけていなかったとのことです。残念です。
お悔やみ申し上げます。
投稿: 澤木一郎 | 2013年3月 3日 (日) 07時13分