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2010年10月23日 (土)

死者から伝えられたもの・日本人であること

海軍予科練習生として終戦を迎えた父の世代は、アメリカとの戦争であらゆるものを失った焼け跡の中から、ヒューマンリレーションの力で、日本の奇跡的復活を成し遂げた世代です。金も、地位も、何もかもが、一瞬にして無に帰する現実をいやというほど味わってきた世代であり、大切なのは、人と人の心の絆であるということを体現して来た世代だと思います。そうした世代だからこそ自然に身についた”自利利他””共生協和”の志というものが、日本の高度成長のヒューマンパワーのベースにあったことを忘れてはならないでしょう。父が亡くなったとき、会場に入りきれないほどの多くの方に来ていただきましたが、父がひたすら滅私奉公に努めてきた原動力が何であったかを思い知らされました。”人の縁をなによりも大切にし、人に誠をつくす”その思いを共有してきた人がこんなにいたというのは、人生を考える上で、深く感じ入るものがありました。

父の旅立ちにささげた一首

めぐり合い 別れる定め あろうとも 永遠(とわ)に紡がん 心の縁(えにし)

父がなくなってから2年半、一昨日叔父がなくなりました。父と一回り以上年が違いますから、受けてきた公教育は、アメリカの占領教育で、自由と民主主義の申し子というか、近代合理主義の申し子のような存在で、父とは真逆の価値観を感じることが多かったんですが、年とともに、日本古来の価値観に回帰していった事実は示唆に富んでいたと思います。
抗ガン剤治療も、栄養カテーテルの注入も断り、人間が本来持っている自然の免疫力で病気と戦い、命をまっとうすると宣言していたんですが、その言葉のとおり、即身仏のように骨と皮だけになり、自身の肉体に蓄えられていたエネルギーをすべて使い果たして亡くなりました。
昔、死期を悟った僧侶は、自ら食を断ち、生きながらミイラとなり、即身仏となったそうですが、叔父に各地の寺にまつられている即身仏と同じ死に様をみせつけられ、強烈な記憶となりました。絶食して、肉体に蓄えられたエネルギーを使いきり、即身仏として死を迎える行為は、食となった生き物の命を無駄遣いしないという大乗愛の思想と表裏一体のものです。一市民でしかない叔父が、古の即身仏になった僧侶と同じように、骨になるまで命を極めつくしたその姿には、深い感銘を覚えました。

本日おじの旅立ちにささげる一首

天恵の いのちの糧を 使い切る 即身成仏 空をみつめり

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