« 中央マスコミがつたえないアベノミクス景気が虚像であること | トップページ | 最強の冤罪ツール「特定秘密保護法」成立で、日本の政治家は完全に霞が関の下僕になりさがる »

2013年11月19日 (火)

日本の太陽光発電メーカーで最後まで残るのはどこだろう?海外生産にシフトしたパナ?国内生産に回帰したシャープ?それとも端から100%国産の三菱?まさか海外メーカーOEMの東芝はないよね!

最近、住宅用太陽光発電の分野で、日本メーカーのスタンスが「短期業績追求」か従来型の日本的なお客様との信頼関係に基づく「長期業績追求」かで、はっきり二分してきているように感じる今日この頃です。

「長期耐久性」を犠牲にしても、「数字上の発電効率」と「海外生産」でわかりやすい「コストパフォーマンス」訴求を高め、「短期的な業績拡大」をめざすのか、「耐久性」を意識した「実質価値訴求」を行い、顧客との信頼関係に立脚した「長期的な業績拡大」をめざすのか?

元来、生粋の日本企業といえば後者の立場に立つケースが多かったと思いますが、最近話題の「きわどい商法」で荒稼ぎをする「渡来帰化系」の「新興成金企業」に即発されたのかどうか、前者を選択する企業が増えてきている気がします。

つい先日も「高出力で国内生産で信頼も高いが価格が高い」と思っていたパナソニックの提示が「くそ安かった」んで度肝を抜かれたんですが、後で調べてみたら、パナソニックが太陽光発電の分野でも、どんどん海外生産の比率を高めて低コスト化=利益追求をすすめていることがわかりました。

実を言いますと、今年の春から、いままでは圧倒的な薄利販売で勝率が高かった相見積もりで、ことごとく敗退して不思議だったんですが、その謎が解けた気がします。

そもそも原価がケタ違いの海外生産品には、価格訴求のあまり利益なしで張り合っても勝ち目はありません。海外生産を選ぶか国内生産を選ぶかという訴求をするべきだったと反省しきりです。

参考画像 パナソニックHIT海外生産のプレスリリース(クリックで拡大)

Hit_2

もともとパナソニックHIT(旧サンヨーHIT)は、高付加価値商品でしたから、利幅が必要な訪問販売で多く販売されてきました。ところが、同じ高変換効率のサンパワー社製品をフィリピン生産のOEMで東芝が扱い始めてことで、かなりシェアを奪われていたようです。

訪販での販売価格はともかく、フィリピン生産ですからパナソニックのHITと比べたら仕入れ価格が格段に違っていたはずで、かなりの数の訪販会社がパナから東芝に鞍替えしたようです。

300万円以上で提示していた東芝の訪問販売が、競合したとたんに100万円近く値引きしてきて「なんだそりゃ?」と驚かされたことが何回もありましたが、短期利益という観点で見れば東芝のフィリピン生産の太陽電池がいかにおいしい商品かわかるというものです。

そんな事情を考えると、パナソニックが虎の子の高付加価値商品であるHITの海外生産に舵を切ったのも、やむにやまれずということかもしれません。しかし長い目で見た場合、それがプラスかどうかはわからないと思います。

やたらと電圧を高め、耐久性を犠牲にしながら、モジュール変換効率を高める一方で、不良発生率が高くても圧倒的な低コストを実現できる海外生産にシフトすれば、他の国内生産の日本メーカーを圧倒できる計算上のコストパフォーマンスを確保できます。

発電効率が高いということで付加価値を訴求して、高いメーカー小売価格に設定しながら、実は仕入れ原価が超低価格のフィリピン生産であれば、メーカーも販売業者もしっかり利益をのせながら市場のシェアを拡大できるはずです。

でも現実は、そんなにうまい話は長続きしないのが常で、それが面白いところです。

無理してコストパフォーマンスを高めているということは、裏をかえしてみると、計算上はコストパフォーマンスぴか一だったのに、経年変化の効率ダウンが多く、長い目で見たらお客様の信用を失うリスクも高めているということもありうるわけです。

40年、50年と、信頼と実績を重ねてきたメーカーであればあるほど、慎重なものづくりにこだわり、試作品では世界一の変換効率を達成していても、長期耐久性が問われる実用品では、コストパフォーマンスを下げてでも、耐久性に重きを置くという選択に走るんじゃないでしょうか?

東芝さんのように3年前はまったくノータッチだったのに急に参入してきたようなメーカーは、いくら不良の発生で評判を落としても、太陽光発電の事業から撤退すればいいだけですから気が楽かもしれません。しかし、40年以上太陽光発電に取り組んできたメーカーにしてみたら、長年築いた「自社製品の信頼を失いたくない」という思いのほうが強くなるのが人情だと思います。

マスコミで経営不振をあおられ、窮地に立たされ、なりふり構わず短期利益に走ると思われていたシャープが、ここにきて海外生産から国内生産堅持の方向に舵を切っていまして意外でしたが、、通算設置実績世界1位の日本メーカーのプライドとして、「守るべきものは守る」というスタンスを再認識したということかもしれないですね。

坂本竜馬の亀山社中をルーツに日本初の株式会社として150年の歴史を紡いできた三菱系列の三菱電機は、はなから「品質・耐久性へのこだわり」を明確にしていましたが、シャープさんも日本製であることを明記するようになり、今後の展開が楽しみです。

「発電効率が高い商品を海外生産で安く提供する」というわかりやすいスタンスでシェア拡大を狙うパナ東芝に対して、「末長く役立つ商品を国内生産でリーズナブルに供給する」という「地道な道」を選択しつつあるシャープとすでに「地道に生きるしかない」と決めている三菱・・・・最後に残るのはどこでしょうか?

営業個人としたら、単純明快にわかりやすく顧客に訴求でき、ライバルがいなければぼろもうけできる・・・東芝・パナの海外製品は魅力的です。しかし、あえて土着日本人の心意気で、「日本生産の可能性」を信じて、不利な戦場にとどまりつづけたいと思います。

|

« 中央マスコミがつたえないアベノミクス景気が虚像であること | トップページ | 最強の冤罪ツール「特定秘密保護法」成立で、日本の政治家は完全に霞が関の下僕になりさがる »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

太陽光発電関連情報」カテゴリの記事

コメント

こんにちは始めまして。
太陽光発電の設置を考えていますが、やはり国産にこだわるメーカーがいいと思いつつも、価格の差を目の当たりにして迷っている次第です。

しかしこちらのブログの「やたらと電圧を高め~」のくだりで、海外製造にシフトすることは、耐久性に影響を及ぼしかねないという内容を読み、国産を選ぶ意思を固めつつあります。


一つだけ疑問がありまして、もしご存じでしたら教えていただければ非常にありがたいのですが、

太陽光発電のホームページ
http://standard-project.net/solar/maker/
で、"近年増えてきているのが、モジュール組立のみ国内拠点で行うパターン。パネル製造の最終段階のみ国内で行うことで「国産」となる"とされており、シャープもその中に入っています。
この場合、パネルの品質にはどういった影響を与えるか、ご存じでしょうか?

モジュール組立の段階だけでも、国内にすることは品質の保持に有効なのでしょうか?
それとも、やはり全部一貫して国内で行っているパネルとは品質の差が出てくるのでしょうか?

投稿: 岡崎泰司 | 2014年5月27日 (火) 13時41分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 日本の太陽光発電メーカーで最後まで残るのはどこだろう?海外生産にシフトしたパナ?国内生産に回帰したシャープ?それとも端から100%国産の三菱?まさか海外メーカーOEMの東芝はないよね!:

« 中央マスコミがつたえないアベノミクス景気が虚像であること | トップページ | 最強の冤罪ツール「特定秘密保護法」成立で、日本の政治家は完全に霞が関の下僕になりさがる »